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岡山地方裁判所 昭和58年(ワ)60号

原告

藤田欣一

右訴訟代理人弁護士

浦部信児

被告

株式会社岡山自動車教習所

右代表者代表取締役

岡本憲明

藤原義章

右訴訟代理人弁護士

小野敬直

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  原告が被告に対し、労働契約上の地位を有することを確認する。

2  被告は原告に対し、昭和五七年五月二七日以降毎月二五日限り、一か月二四万七三九〇円の割合による金員を支払え。

3  右2項につき仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  被告(以下「被告会社」ともいう。)は自動車教習所の経営等を営む会社であり、原告は昭和四〇年五月一日被告に雇用された従業員である。

2  しかるに、被告は、昭和五七年五月二七日に原告を解雇した、と主張して、原告の被告会社の従業員としての地位を争い、右の日以降の賃金も支払わない。

3  原告は、被告から毎月二五日に賃金の支払を受けていたものであるところ、昭和五七年五月当時の原告の賃金は月額二四万七三九〇円であった。

よって、原告は被告に対し、労働契約上の地位を有することの確認及び昭和五七年五月二七日以降毎月二五日限り一か月二四万七三九〇円の割合による賃金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1及び2の事実はいずれも認める。

2  同3の事実のうち、原告に対する賃金支給日が毎月二五日であったことは認めるが、その額については争う。解雇当時の原告の平均賃金は月額二二万五二五九円であった。

三  抗弁

1  解雇

被告は、次の(一)ないし(四)の理由により、原告が被告会社の円滑な業務の運営と従業員の安全のうえで大きな障害となることが明白なので、就業規則(ただし、昭和五七年四月一日改定施行前のもの)二五条の(1)(2)(3)に基づいて、昭和五七年五月二七日、原告に対し解雇する旨の意思表示をした(以下、これを「本件解雇」という。)。

(一) 原告は遵法精神に欠け、左記のとおり幾度となく就業規則の規定に背き、度々懲戒を受けながら、一向に反省の態度が見られない。

(1) 昭和五六年六月二五日 職務違反による譴責

(2) 同年七月三日 業務妨害による出社禁止

(3) 同年七月二一日 威力業務妨害による減俸一割一か月

(4) 同年一〇月五日 安全会の公金横領(告訴中)

(5) 同年一一月一七日 業務妨害、道交法違反による減俸一割一か月

(6) 昭和五七年二月二七日 暴力行為等処罰ニ関スル法律違反による起訴

(二) 原告は、従業員間の協調の精神に欠け、職場で度度紛争を起こして暴力をふるい、威迫をもって業務を妨害する等して、社業の遂行上大きな障害となった。

(三) 原告は、怪文書を作製し、これを会社の監督官庁、取引銀行、取引先及び業界に送り付け、被告会社の名誉と信用を著しく傷つけた。

(四) 原告は、昭和五六年一〇月五日、被告会社の安全会の資金五二万円を横領した。

2  解雇の承認

原告は、本件解雇後の昭和五七年六月一五日、同人の健康保険被保険者証を返還するため被告会社を訪れた際、自己のこれまでの非違行為を反省して謝罪の意思を表明し、本件解雇を承諾する旨を述べた。

右のとおり、原告において本件解雇を承認した以上、もはや本件解雇の効力を争うことは許されない。

3  訴権の濫用

原告は、本件解雇後の昭和五七年一一月一七日に東岡山藤田興業株式会社を設立し、その発行済全株式(一〇〇株)を所有するとともに、右会社の代表取締役に就任してその経営に当たっており、現在において本訴請求に及ぶべき必要性はまったく存しないにもかかわらず、提起された原告の本訴請求は訴権の濫用に当たるというべきである。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実は認める。ただし、解雇理由として挙げられている事実は、いずれも不存在か又は不相当である。

2  同2の事実は否認する。

3  同3の主張は争う。

五  再抗弁

1  不当労働行為による無効

被告が本件解雇をした主たる動機は、原告の組合活動、すなわち長期間会社と鋭い対立状態にあった組合を統率して争議行為を指導した最高責任者であることを嫌悪したことにあるから、本件解雇は不当労働行為に当たり無効である。

2  解雇権の濫用による無効

本件解雇の理由とされている事実はいずれも不存在又は不相当であるから、本件解雇は解雇権の濫用に当たり無効である。

六  再抗弁に対する認否

いずれも争う。

第三証拠

本件記録中の証拠に関する目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1及び2の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  本件解雇に至るまでの経緯等について

本件解雇についての判断に先立ち、その前提として本件の背景となる事情、本件解雇に至る経緯についてみるに、(証拠略)を総合すると、次のような事実が認められる。

1  被告の経営する岡山自動車教習所では、昭和四二年七月、職員の相互扶助を目的とし職員全員で構成する親睦団体岡山自動車教習所職員会(以下「職員会」という。)が結成された。職員会は、その後職員の賃金引上げ等について被告と交渉する等、次第に労働組合的色彩を帯びた団体となり、昭和五五年一一月二九日には職員会総会で規約を改正して、所長等一部の管理職を構成員から除外することとし、一層労働組合的な実体を備えたものとなり、原告がその会長に再選されて、以後職員会の中心としてこれを主導していった。

2  昭和五五年一〇月ごろ、職員会は被告に対し、賃金格差の是正や年末賞与の支給を求めて団体交渉を申し入れ交渉を継続していた。ところで、当時、被告は岡本憲明、西山重尚両代表取締役が共同代表制によって業務運営に当たっていたが、会社内部において経営の主導権争いが生じていた。その結果、右交渉の最中、昭和五五年一二月一一日から一八日にかけて、岡本代表取締役が病気入院したことから、西山代表取締役が単独で職員会との間で、基本協定書、冬期賞与協定書、団体交渉遅延迷惑料協定書及び職員給与不公平是正協定書(以下、これらの協定を一括して「四協定」という。)を締結するに至った。

四協定の内容は、当時、被告の方針とは相容れぬものであり、その内容も会社経営の実態からかけ離れ、非常識なものであったことが原因で、昭和五六年一月六日の取締役会で、西山の代表権が剥奪された。

3  これに対し、被告は、四協定は西山代表取締役が独断専行により共同代表制を無視して同人一人の名義で締結したものであるから、その効力は生じない、との立場を採り、四協定の全部履行を迫る職員会との対立が深まった。そして、昭和五五年一二月二六日には職員会側で、右協定に基づく年末賞与の支払を求める仮処分を当庁に申請し、昭和五六年一月二二日申請額の八割相当の金員について被告に仮払を命じる決定を得た。

4  昭和五六年一月以降、被告と職員会との間で右の問題を巡って団体交渉が持たれ、殊に同年四月から新しく共同代表取締役となった藤原義章を加えて精力的に交渉が続けられていたものの難航し、同年五月には被告から地労委へ斡旋を申請したが、これも不調に終わった。

その後職員会は争議戦術を強化して、同年七月二八日からは無期限ストライキに突入したが、県総評の仲介によって、同年八月六日、被告と職員会の間で、爾後六か月間平和的に交渉する旨の平和協定が締結されて、事態は一応鎮静化した。

5  しかるところ、右平和協定の期限が切れた後である昭和五七年二月一一日、職員会から被告に対し定年延長や賃金引上げ等の事項について団体交渉の申し入れがあり、これを受けて交渉が開始された。なお、この間の被告の交渉態度が格別に不誠実であったとの事情は証拠上窺われない。

職員会側では、右交渉開始前にすでにスト権を確立していたが、交渉の成行きが、四協定の効力等の問題とも絡んではかばかしくないとみるや、昭和五七年三月一七日から同年五月二二日までの間、断続的に一二波にわたつて合計五六日間ものストライキを行った。これに対して、被告も同年五月一五日以降ロックアウトで対抗したが、その後再び県総評の仲介によって、ストライキは中止された。

6  原告は、職員会(組合)の執行委員長として、右争議の中心となってこれを主導してきていたが、前述の紛糾事態を収拾することができず、昭和五七年五月一二日付で委員長を辞任するのやむなきに至った。

三  本件解雇について

1  抗弁1記載のとおり、被告が原告に対し本件解雇の意思表示をしたことは当事者間に争いがないところ、原告は、本件解雇の理由として挙げられている事実はいずれも不存在又は不相当である、と主張して争っているので、以下順次検討する。

2  解雇理由(一)(二)について

(一)  (証拠略)によると、被告においては、新しく自動車教習所へ入所してくる教習生の入所式を毎週土曜日に行ってきていたが、原告ら職員会の幹部が昭和五六年二月から六月にかけて合計五回にわたり、なんらの正当な理由なくして、入所式に当たって被告の業務命令に反して入所手続業務を行わず、又は他の職員がこれを行うのを妨害して、教習生の入所を妨げたこと、被告はこれを理由として、昭和五六年六月二五日付で原告に対し譴責処分をし、同時に、教習生の減少に伴う業務上の必要を理由として自宅待機を命じたことが認められる。

(二)  (証拠略)によると、前記のとおり、自宅待機を命じられたにもかかわらず、原告は連日教習所へ顔を出し、同様に自宅待機を命じられた者らと相謀って、所長席を占拠したり、予約業務を妨害したりして、被告の営業を妨げたこと、そのため被告は、昭和五六年七月三日付で原告に出社禁止を命じ、更に同月六日にも同様の業務命令を発したが、原告はこれらの業務命令に従わなかったことが認められる。

(三)  (証拠略)によると、昭和五六年七月一八日午後五時五五分ごろ、被告にバス運転要員として雇用された小坂紀久男が教習生を送迎するためにバスを発車させる準備をしていたところ、前記のとおり出社禁止命令を受けている原告らが同人を取り囲み、被告が四協定に反して職員会の承諾なしに同人を雇用したことに問題があるとして詰問する等してその勤務を妨害したため、小坂はバスを運転することができず、岡田課長が代わりにこれを運転したこと、被告は同月二一日付で原告の右行為が被告の業務を妨害したものであるとして、原告を一か月間一割の減俸処分とするとともに、車両管理課係長兼安全運転管理者の職を解いた。

(四)  (証拠略)によると、昭和五六年八月二一日午後七時二〇分ごろ、原告が、夜間路上教習中の教習車のすぐ後方に接近追尾し、自車の前照灯を数回上向きにして照らす等の行為をして、その教習を妨害したこと、同年一〇月二一日付で、原告が組合名義の質問状を被告の主要な取引先の一つである岡山大学共済会宛てに送付したが、その内容が、被告に勤務する牛尾部長の更迭の有無及びその理由等につき釈明を求め、かつ被告代表取締役の説明と異なり、未だ争議中である旨警告するというものであったことから、被告が右共済会から取引を断わられるという事態を招いたこと、被告は、同年一一月一七日付で、右の各理由によって原告を一か月間一割の減俸処分にしたことが認められる。

以上のとおり認めることができ、原告本人の供述中右認定に反する部分は前認定に供した各証拠に照らして到底措信できず、他にこれを覆すに足りる証拠はない。

右認定事実に照らすと、前記(一)(三)(四)の各懲戒処分についていずれもその理由とされた事実が存在しており、その内容等に徴すると各処分を選択した被告の裁量に逸脱濫用があったとはいえないし、また被告が解雇理由(二)として主張する点も、右認定事実の限度で明らかに認められるものといわなければならない。

しかして、原告の前記(一)ないし(四)の所為はいずれも近接した時期に行われており、しかも被告の業務命令に反し殊更にかかる業務妨害的な行為を反覆しているのであって、いずれも企業内の秩序を乱すものであり、(四)の教習妨害行為は、自動車教習所の運転技能指導員として有るまじき不適切な行為といわざるを得ない。これらの結果、本件解雇に至る以前において、懲戒解雇に次いで重い減俸処分を二回受けている点についても被告としてはけだしやむを得ない処分であったものと認めることができる。

3  解雇理由(三)について

(証拠略)によると、職員会(組合)が、被告との団体交渉及び争議を行っていた昭和五七年三月から四月にかけて、被告の団体交渉に臨む態度を非難し、職員会の闘争への理解を訴える内容の文書を、交通安全協会(乙第六一ないし第六三号証)、被告の取引銀行である伊予銀行(乙第六四号証の二)、近隣住民(乙第六五ないし第六七号証)のほか、山陽新聞社、岡山県公安委員会や岡山東警察署等へ送付又は配付したことが認められる。

しかし、右文書の内容を子細に見てみると、その一部には、被告が団体交渉に応じない等といった事実に反する誇張的表現によって被告を一方的に非難し、被告の会社役員を個人的に誹謗中傷する部分が含まれており、当該文書を読む者にとって、被告及びその役員に関し、誤解を生じさせる虞れが十分あるものと認められ、かつその記載内容からして被告の信用を失墜させるものであり、しかもその送付先等にも鑑みれば、右文書の送付は労働組合の情宣活動の域を逸脱したものといわざるを得ない。

原告本人は、乙第六六、第六七号証以外の文書について、その作成配付への関与を否定する供述をしているけれども、乙第六四号証の二については執行委員長の肩書を付した原告名の署名押印があり、前記のとおり原告の作成と推認されるし、その余の文書についても、その内容が職員会(組合)の主張を掲載したものであって、これに当時原告が職員会(組合)の委員長として、統率していた者であったことを考え併わせれば、乙第六〇ないし第六五号証等の文書の作成配付についても、原告が実質的に関与していたものと認めるのが相当であり、これに反する原告本人の前記供述は到底措信できない。

4  解雇理由(四)について

(証拠略)を総合すると、次の事実が認められる。

(一)  岡山自動車教習所交通安全会(以下「安全会」という。)は、被告の全従業員をもって組織され、会員が交通安全と交通事故防止について相互に調査研究を行い、積極的に交通安全活動を実践することによって、職場から交通事故を追放することを目的とする団体であって、男子職員から徴収される会費と、被告からの助成金によって経費が賄われている。会長は、任期二年で、被告の安全運転管理者が就任することとされている。

(二)  原告は、昭和五三年二月二〇日安全運転管理者となり、これに伴って安全会の会長に就任していたが、昭和五六年七月二一日付で安全運転管理者の職を解かれたことにより安全会会長の地位も喪失したにもかかわらず、後任者への事務引継ぎ等を行わなかった。

(三)  原告は、右会長職を解任された後である昭和五六年一〇月五日、中国銀行東岡山支店の安全会名義の預金口座から五二万円を無断で引き出し、職員会(組合)の争議用資金借入れのための見返りとして、これを労働金庫へ預け入れた。

(四)  安全会は、昭和五七年四月一三日付で原告にこの点の釈明を求め、さらに同年六月八日原告の右預金無断引出し行為が業務上横領罪に当たるとして、岡山東警察署に告訴した。

原告は、本件解雇後の昭和五七年末か昭和五八年初めごろに至って、ようやく右金員を返還した。

以上の事実が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

右において認定した事実からすると、原告はすでに安全運転管理者の職を解かれ、安全会会長の地位も失っており、しかも、その目的も安全会とは関係のない職員会の闘争資金借入れのための見返りとして預金したというものであって、原告の右行為は、無権限の違法なものと評価せざるを得ず、かつその違法性の程度も決して軽微なものとはいえない。

5  本件解雇の決定

前掲被告代表者本人の供述によると、前記のとおり昭和五七年五月二二日をもって職員会のストライキが中止された後に、被告の岡本、藤原両代表取締役、飛岡取締役らにおいて、原告の処遇が問題とされ、前記2ないし4のような事情があるほか、原告が昭和五六年一月一六日に行われた団体交渉の席上、暴力をふるったとして、昭和五七年二月二七日付で暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪で当庁に起訴されたこと等から、原告を懲戒解雇とすることに決定し、これに基づいて同年五月二七日本件解雇が行われたものであることが認められる。

6  まとめ

以上において認定説示したことからすれば、被告が本件解雇の理由として主張するところの事実はいずれもこれを肯認することができ、原告の右一連の所為は被告の企業秩序を乱し、企業の円滑な運営を阻害するものであり、被告の就業規則二五条に該当するものと認められる。なお、(証拠略)によれば、原告は前記暴力行為等処罰ニ関スル法律違反で岡山地方検察庁から昭和五七年二月二七日に起訴され、翌五八年一二月二日に岡山地方裁判所で罰金二万円を宣告されたが、その控訴審である広島高等裁判所岡山支部で、原告の右行為が労働組合活動の社会的相当行為に当たるとして無罪を宣告され、この刑事判決は確定したことが認められるところである。しかし、原告の右暴力行為による起訴自体は、本件解雇理由そのものでなく、被告が原告を本件解雇に踏み切るきっかけに過ぎないものであることは、先に認定したことから明らかである。したがって、右起訴にかかる原告の行為が無罪となったとしても、この点は本件解雇の消長になんらの影響もきたさないものである。

しかして、従業員に懲戒事由に該当する事実があると認められる場合、使用者にはいかなる懲戒処分を選択するかについて一定の裁量が認められるところであるが、当該処分とその原因となった行為との対比において著しく均衡を失し、社会通念に照らして合理性を欠く等によって裁量の範囲を超えてされたものでない限り、その効力を否定することはできないと解すべきである。これを本件について見ると、前記各認定の事実に徴すれば、本件解雇が合理性を欠き裁量権の範囲を逸脱しているとは到底認められない。

ところで、原告は、本件解雇は、処分理由の不存在又は不相当であるとして解雇権濫用に当たる、と主張するが、これまで認定説示してきたところから明らかなように、右主張はその前提を欠く失当なものであって理由がない。

また、原告は、本件解雇の主たる動機が、原告の組合活動、殊に長期間会社と鋭い対立状態にあった組合を統率して争議行為を指導した最高責任者であることを嫌悪したことにあるから、本件解雇は不当労働行為として無効である、と主張する。しかし、本件解雇の理由が前記のとおり相当であること及び本件解雇がすでに原告において組合の執行委員長を辞任し、かつストライキの中止後に行われたことや被告の団体交渉等に臨む態度等に鑑みれば、被告の行った本件解雇が、原告の組合活動を嫌悪し、これを阻害圧殺することを決定的動機としてされたものであるとはいい難く、また被告が原告の組合活動を嫌悪したことを認めるに足りる特段の証拠もない。

よって、原告の再抗弁は理由がなく、他に本件解雇の効力を否定すべき事情も見出せないから、本件解雇は有効というべきであり、原、被告間の雇用契約は本件解雇の意思表示がされた昭和五七年五月二七日限り終了したものといわなければならない。

四  結論

以上のとおりであって、原告の本訴請求はその余の点について判断するまでもなく理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 白石嘉孝 裁判官 安藤宗之 裁判官豊澤佳弘は海外出張につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 白石嘉孝)

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